第拾壱号 『g@me.2』


山田とゐち30歳、マクドナルドで食べ終えた後に残る包み紙を小さく丸め、全てポテトの容器に入れ、一つにまとめてから捨てるゴミ減量推進派です。

UFOキャッチャーで奇跡を垣間見た小生は、店内奥へと足を運びました。
夥しい数のビデオゲーム機から発せられる眩い光が、小生のゲーム魂に火を付ける。
早速、何をやろうかと光の道を彷徨い歩いていると、『脱衣麻雀』に燃える赤ら顔の中年男に遭遇しました。
Yシャツの腕を捲くり、ネクタイを緩め、頭皮剥き出しの後頭部から汗を流し、隣の席まで届く位の大股開きで、ナース服姿をしたアニメキャラの裸を拝む為に彼は命を削っている。
小生は彼を観察したいが為に、隣の席にあるやりたくもなかった『ぷよぷよ通』を始めました。

耳をすますと彼の独り言が耳に入ってくる。
『イーピン切るとサブローピン待ちか…』と彼はイーピンを切る。
すると…『ロン♪』と可愛らしい女の子の声が鳴り響く。
そう、彼が切った牌はまさにナース女の当り牌。
『甘いわよ〜ん、フフッ♪』とナース女が嘲笑う。

…彼が理性を失ったのはこの時だった。
彼は悔し紛れに『バンッ、バンッ』と機械を2度叩き、『くっそ〜っ!!』と叫んだ。

…おいおい、店員に怒られるぞ

と小生の心配と同時に足早に店員がやってくる。

…ホラきた。

『お客様、機械を乱暴に扱うのは止めて下さい』
『だってよぉ、こうやって叩くと次勝てんだよ、さっき勝てたんだから』

…んなワケない、誰からそんな事を教わった?のび太のママか?
『テレビが壊れたら、テレビの角を45度の角度で叩くのがコツよ♪』【ドラえもん『タイムふろしき』てんとう虫コミックス第2巻参照】
まさかあんな言葉を鵜呑みにしたのか、君は…

呆れた小生をよそに、彼は更に100円を投入。
顔から滲み出る脂汗をネクタイで拭いとり、再びナース女にリベンジを挑む。

『ロン♪』と再びナース女の声。
…ほら、叩いても意味ないじゃん。
ククク…あンた、背中が煤けてるぜ…

ところでどうして俺のぷよぷよもステージ3以上行けないんだ…
と小生も再び100円投入…
あ!これでは彼とやってる事は同じではないか!!

ゲームセンターにはもののけが棲むと言われている。
何故そんなに人を熱中させるのか全くもって理解不能である。

嗚呼、今夜も金と時間を浪費した。



【追記】

最近ゲームセンターにはほとんど行っていなかった。
数年前までは、仕事サボって脱衣麻雀したり、野球ゲームしたりしていたが、ネットをするようになってからは行かなくなってしまったのだ。
しかしこのネタを書こうと思い浮かんだ時、何となく心の奥深くに潜んでいた『ゲーム魂』に再び火がついた。
最近のゲーセンはどうなってるんだろう?
そんな期待を胸に行ったわけだ。
驚いたのは麻雀ゲーム。
昔は純粋に麻雀がしたいと思っても脱衣麻雀位しかなく、胡散臭いアニメの女の子といい加減な麻雀をする程度だった。
現在ではネットワーク対戦型の麻雀『麻雀格闘倶楽部』というのがある。
全国のゲーセンにその専用機が置いてあり、見ず知らずの人とネットを通じて麻雀が出来る仕組みだ。
大人気の為、座れない日もチラホラある。
ネット麻雀といえば、パソコンでも『東風荘』というのがあるが、アレはアレで楽しいのだがいまいちリアルさに欠ける。
やはり、負けたらコンティニューする為に100円、場合によっては200円を投入しなければならないというリアリティが勝負を本気にさせ、ウケている理由なのかもしれない。
その他にもプロ雀士の資格試験が受験できたり、店内ランキング、全国ランキング等が見られるのも魅力の一つだ。
このゲームを知ってからというもの、1日3000円位使う日々が続き、3ヶ月位でオイラは推定10万円程使ってる。
最近はちょっと飽きたのか、やる機会が減ったとは言え、もう病気である。
そして結局、下手の横好きなのである。
というか、単なるバカである。


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