第参号 『猿の惑星』


山田とゐち29歳、小さくなった石鹸は、みかんが入ってた網に入れ最後まで使い切るエコロジストです。

小生、まれに健康ランドに足を運びます。
健康ランドは、この大都会東京という砂漠のまさに「オアシス」です。
そこには様々な動物が水と癒しを求め集まります。
今回は男性編と銘打ち、そこでの雄達の行動記録を報告致します。

小生が産まれたままの姿で中へ入るや否や早速目に飛び込んできたのは、風呂に入る時必ず「あ゛ぁ」と鳴き声をあげる、赤ら顔のバーコードヘアでお腹に「たれぱんだ」を3匹飼育する紳士でした。
小生は彼に「カバ園長」と命名しました。
園長が檜風呂の中で歌う松原のぶえの曲は、レコード大賞ノミネート確実です。
たまに歌詞を忘れ「ん〜んん」とハミングに変わるテクニックは、あの世界の坂本龍一、小室哲哉もそのテクを盗み、自分の曲に取り入れる程です。
小生は園長にも印税を支払うべきだと強く主張する為に、明日「日本音楽著作権協会」へ出向こうと思います。

5分程の「園長オンステージ」を最前列で鑑賞した小生は、感動の涙を湯船に残しサウナへ移動しました。
サウナはまさに熱帯地獄、しかし動物達の汗や汁が乾いた地面に潤いを与えます。
『ん?この匂いは何だ?』
鼻を敏感にさせた小生は、すぐに匂いの元を嗅ぎつけました。
小生の前に座る、体中がアブラでコーティングされた阪神・伊良部似の紳士です。
彼を「アラブの石油王」と名付けました。
きっと暑い中、自分の体から湧き出るアブラを売る為に、ラクダに乗ってやってきたのでしょう。
王はサウナのテレビで流れてる「モグモグゴンボ」を観て御満悦の様子。
こぶ平もヒロミも後日褒美が送られる事だろう。
…しかし臭い。
いくら王とは言え、体洗ってからサウナ入ってくれよな…

風呂から上がった小生は、ひと眠りしようとムームーに着替え、リクライニングチェアへ向うのです。
チェアの頭の部分はポマードやヘアトニックの匂いが鼻につきます。
「逆アロマテラピー」な環境の中、ビリビリに破れた「課長 島耕作」に読みふけり、そして眠りにつくのでした。
夢を観ました。
園長と王が小生の上司になっており、小生が業績不振で二人の口臭攻めにあうという物でした。

本当のオアシスは一体何処にあるのか?

不健康ランド男性編・完
女性編へつづく。



【追記】

健康ランド編を作ってみました。
このネタは、風呂やサウナでのおっさんの行動で特に目立った部分を抜粋した物です。
風呂というのは気持ちが解放され、本来の人間らしい行動が浮き彫りにされる為、人間ウオッチャーの小生と致しましては非常に楽める場所な訳です。
このネタの出来は過去の作品と比べても一番面白く書けたと自画自賛しております。
でも最後の夢を見るというオチはイマイチだったかなぁ。。。
このネタ、是非声を出して読んでみて下さい。
アラブの石油王ネタ辺りは非常に駄洒落もきいていてリズミカルに読める文章になってると思います。
こんな感じでいつもリズミカルに「声に出して読みたいネタ」にしていきたいと日々精進するばかりです。


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