第四号 『続・猿の惑星』


山田とゐち29歳、中学の時フォークダンスで片想いの真理ちゃんと踊れる寸前で曲が終わり、チャンスを逃した事を今でも根に持つ純粋無垢なオクトパスダンサー(タコ踊り)です。

今回は都会のオアシス「健康ランド」雌達の観察記録。しかし小生は雄の為、風呂場の詳細を報告する事が出来ません。
【女湯観察可能な女性研究員を募集中】

-前号続き-

風呂で綺麗になった小生の体が、悪夢により大量の寝汗をかいたせいで再び元の汚れた体に戻ってしまったのです。
しかし入り直す時間はもう無く、仕方なくそのまま場内の宴会場で食事をとる事にしました。

100人弱が入れるその宴会場では、沢山の動物達が呑めや唄えやのどんちゃん騒ぎ。
前号登場の伊良部の石油王も赤ら顔で家来達に熱く「俺論」を語る始末。
『家来もアンタの武勇伝なんて聞きたかないよ…』
でも彼の浴衣からハミ出たタテジマのトランクスが、小生の邪(ヨコシマ)な心を取り除いてくれそうです。

リッチに天婦羅御膳を頼んだ小生は、宴会場の舞台で唄い続ける淑女に注目しました。
右手にマイク、左手は熱く拳を握る、アフロっぽいその中途半端なパーマネントには今にも小鳥達が憩いを求め訪れそうです。
唄う姿はまさに妖精、背中に羽根があるかの如く舞台を舞っているのです。
しかし既に3曲連続で唄っているせいか、彼女の美声に誰も耳を傾けようとしません。
『いくら美声でも3曲続けりゃ罵声を浴びてもおかしくないぞ?』
どうやら妖精ではなく悪魔の化身だったようです。動物達を怯えさせ、強引に聴かせてたのです。
『貴様、このオアシスを支配するつもりだな、そうはさせぬ!』
正義感の強い小生は闘いを挑む決意をしました。
でも気の弱い小生は妄想の中で闘う事にしたのです。
すぐさまアフロを掴み、舞台から引きずり降ろし、持参したmy健康サンダルのイボイボ部分を彼女の顔面に向けて思いっきり殴打してやりました。

妄想の中で彼女は叫び声をあげ、黒い霧を出し空へと去っていきました。
悪魔を退散させた小生は動物達から神と称えられ、この地に永遠に名が刻まれる事になりました。

現実で彼女は、鼻息荒く4曲目に入る所でした。
それを横目に小生は黙々と海老天婦羅を食すだけでした。

本当のオアシスは一体何処にあるのか?

不健康ランド女性編・完



【追記】

健康ランド女性編と銘打って、マイクを離さない図々しいおばちゃんについて書いてみました。
こんなおばちゃん実際いたら怖いわ。。。
宴会場にいる約100人を自分の客にしてプチコンサート開かれてもなぁ。
普通は1曲1000円位取られるので、もしこんなおばちゃんがいたら金持ち以外の何者でもありません。
それにしても何でおばちゃんって中途半端なアフロヘアーみたいな髪型の人多いんだろう。
まあ、風呂上りだからセットしてないってのもあるんだけどさ。
いやそれにしてもさ、この健康ランドの天婦羅御膳うまいんだわ。
行くと必ず喰ってる。あと野菜ジュースも頼むかな。


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